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2016-01-02

石工道具の説明と制作工程の解説2

-石工道具の説明と制作工程の解説1の続き-

 

8分[はちぶ]の太さのハツリノミと大石頭[だいせっとう]とでの作業では、必要以上に石を削り取ってしまう可能性があるので、6分[ろくぶ]の細さの③ムシリノミと⑩中石頭[ちゅうせっとう]に切り替えて、線彫り作業を続けます。ちなみに6分の細さのノミを重い大石頭で打撃すると、威力が強すぎてノミの刃[は]が折れてしまいます。ノミのサイズに合わせて石頭の大きさも変えていかなければなりません。

道具はさらに細い4分[よんぶ]の④字堀ノミ[じぼりのみ]と、打撃力の少ない⑪小石頭[しょうせっとう]に切り替えています。側面にけがいた線ぎりぎりまで、慎重に線彫り作業を繰り返して石を剥がしていきます。この頃のなると周囲に広がる石の破片、木っ端[こっぱ]もかなり小さくなっています。

線彫り作業を終えて、4分の細さで刃の幅2cmの⑥平刃ノミ[ひらばのみ]を使用しての石の角出し作業を始めます。尖った箇所や破損してはいけない箇所から作業を進めるのが石材加工の基本です。石の角に平刃ノミをあて、小石頭でノミの頭を細かく打撃しながら平らにならしていきます。平刃の端部分を少し石の外側に出しながら打撃していくのが、石の角を破損しないで作業を進めていくコツです。

平刃ノミで石の角を整えた後、⑬ビシャンを使用して平らな面を作っていきます。柄を両手で持ち、刃先のつぶつぶをリズム良く石にあて続けながら、粗い線彫り痕の表面をならしていく道具です。石の角を破損しないように注意が必要です。

ビシャンの使用によりだいぶ表面が整ってきましたが、さらに平らにならすために⑭刃トンボ[はとんぼ]を使用します。この道具も柄を両手で持ち、リズム良く刃先を石にあてていきます。この薄く研いだ平刃部分で細かく叩かれ整えられた石の表面であれば、砥石[といし]による研磨作業の下地として使用できます。

側面の形ができあがったら、上面の風景の形状の制作に入ります。やはり石の角からノミ入れスタートです。残したい箇所、破損したくない箇所から作業を開始する基本をここでも心掛けます。今回の解説では表記していませんが、4分[よんぶ]よりも細い、3分[さんぶ]の④字堀ノミ[じぼりのみ]を使用しています。⑪小石頭[しょうせっとう]の柄を短く持ち、打撃力を少なめに調節して彫り進みます。

横方向から、そして縦方向からと線彫り作業を繰り返し、作品の形を決めていきます。上画像のように、彫刻はいったん線彫りの線の集合体で形作られることになります。

-石工道具の説明と制作工程の解説3に続く-

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